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海の近くで暮らしたい~ピッペンストアと宮崎移住のお話~

近年話題のデュアルライフ、田舎暮らし。
気が付くとそんな記事やニュースを目で追っていたりします。
うらやましいと思いつつも、それはどこか遠い世界のお話で、それを自身に置き換えてリアルに考えることなんてありませんでした。
だけどそんな夢のお話を、リアルに考え実行してしまった人が私たちの身近にいます。
今回は、私たちの仲間であるPIPPEN STORE店主ピッペンさん一家の宮崎移住のお話。
そしてそれは、今流行のおしゃれなライフスタイルのお話ではなく、『自分自身の人生を生きる』という人間がもつ根源的な欲求と現実世界との葛藤のストーリーでもあります。

PIPPEN STOREとは

PIPPEN STOREは名古屋市天白区のココウォーク本店のお隣にあるサーフショップ。
サーフィンの中でもクラシックなロングボードをフューチャーした、古き良き60年代のサーフカルチャーを感じさせてくれるサーフショップで、実は私たちの会社が運営している店舗でもあります。
ロングボードとは、オリンピック種目にもなっているショートボードのようなテクニックを競うスポーツ的なサーフィンとは違い、9フィート前後の重く長い板でゆったりと波に乗り、人生や地球そのものを楽しむかのようなスタイルのサーフィンです。例えるならば、ハーレーダヴィッドソンに乗り、どこまでも続くハイウェイをのんびりとクルージングする、ロードムービーのような人生観そのものかもしれません。

そしてそんなピースフルなロングボードを主に取り扱うPIPPEN STOREの店主が、この物語の主人公でもあるピッペンさん。


ピッペンさんのプロフィールはこちら

COOLでスタイリッシュなサーファーであり、
坊主頭にひげ面で、
年中日焼けで真っ黒で、
一見すると近寄りがたいサーフショップの店主。
だけど実は、お酒もたばこも興味なく、サーフィン一筋のピュアサーファー。
時に、かわいいものに目がない雑貨男子。

私自身はサーフィンはしませんが、趣味のサーフフィッシングで通うフィールドが同じということもあり、仕事の合間に最近の海の状況などを聞くと、天気図や長年の経験から、ポイントの状況や今後の海況予測に近場のグルメまで、あふれる知識と情報を淀みなく、キラキラしたピュアな瞳でたくさん語ってくれます。

海やサーフィンのこと、雑貨のことをしゃべりだしたら止まらない、おしゃべりでチャーミングなサーファーおじさんでもあります。

海の近くで暮らしたい

そんなピッペンさんが『海の近くで暮らしたい』と語っていたのは当然の成り行きでした。
PIPPEN STOREがある名古屋市天白区からサーフポイントである渥美半島までは、高速を使って車で1時間ちょっと。
通えない範囲ではありませんが、心理的にはちょと遠い。
今日の波はどうだろう?
天気図や海沿いのwebカメラを見て予想したりすることも楽しいけれど、できることなら『ちょっと海まで』そんなライトな気持ちでいつでも好きな時に海を見たい。
できることならいつも海と、波とともに生きていきたい。
ネット上に情報はたくさんあふれているけれど、自分の目で見る海に勝るものはないのかもしれません。

しかし、そんな想いは、当初はリアルなものではありませんでした。
いつかそうなったらいいな。
誰しもが抱く、そんなおぼろげな夢想。
少なくともみんながそう思っていましたが、本人だけは違っていたのかもしれません。

一歩を踏み出す

宮崎に行きたい。
ピッペンさんが具体的に言い出したのは、たしか2020年の春。
コロナ禍で世の中が目まぐるしく変わっていく頃でした。
世界中の人の人生観が揺さぶられたこの時期、何がその心境を動かしたのかは知る由もありません。しかし、この世界の残酷な現実は、幸運にもピッペンさんの背中を押してくれました。

会社はそれを受け入れました。
その背中を押しました。
どうやったらお互いがハッピーでいられ、
かつピッペンさんの夢をかなえられるのかを何度も何度も議論しました。
そして結論が出ました。

「とりあえずやってみよう!」

宮崎に居を移しながらもお店を存続させることになりました。
ピッペンさんは月に1週間程度名古屋にきます。
いない間はスタッフのYuちゃんが一人でお店を守ってくれることになりました。もちろん宮崎にいながらもリモートでミーティングをしたり、オンラインストアの仕事をしたり、オンラインで接客をしたりなどなど、新しいことにもチャレンジしてみよう。うまくいくことばかりではないかもしれないけれど、「とりあえずやってみよう!」ということになりました。

お店を残して店主が移住。
普通はありえないことだと思います。
通常ならオンラインショップ専業にしたり、廃業して別の仕事をしたりするものなのかもしれません。テクノロジーを駆使して、リアルからオンライン、バーチャルへ。
これが今時のトレンドかもしれません。

しかし、ピッペンさんと会社のお互いがこのお店を残したいと思いました。
効率は悪いけれど、それがこれから大切なことなのではないかと、言葉には出さないけれど、お互いが考えました。

ピッペンストアを残す意味

ピッペンストアにはひとが集います。
買い物のためではなく、緩やかなつながりのために。
ロングボードという共通の人生観に魅せられた人同士が、緩やかに温かくつながる場所。
それがピッペンストアなのだと思います。
そしてそんなリアルな空間や時間が、私たちがこの先の人生に求めているものなのかもしれません。
こればかりはどんなにテクノロジーが進歩しようとも、オンラインストアでは代替できません。

同時に、ピッペンさんにとって、ピッペンストアと同等に大切な海を、よりリアルに感じて生きていきたい。

そんな二律背反の命題を解決する唯一の方法が、これから始まる宮崎と名古屋のデュアルライフなのです。

宮崎へ

2021年3月。
ピッペン一家は宮崎へと旅立ちました。
そして4月からあらたなピッペンストアも順調に営業を再スタートしました。
これからいろんな問題が起きると思います。
だけど、スタッフのYuちゃんや大切なお取引先、サーフィンの仲間たちに支えられながら、ドタバタジタバタしながらもなんとかやっていくことになると思います。

世間のイメージする、おしゃれでスマートなデュアルライフとは違う、アナログで人情にあふれたデュアルライフ。
おじさんサーファーのあらたな人生を、私たちは会社の仲間として応援しています。
そして自分自身の人生を生きることの尊さを追体験させてもらっています。

ピッペンさんに、そして鈴木家に幸あれ!


@pippenstore 

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